弁護士による意見書の提出
労災制度の目的は、労働災害が起きてしまったときに、被災した労働者やその家族の生活を金銭的な面から補助することです。そのため、労災の申請は個人が簡単に行うことができて、条件を満たす事案については、滞りなく支給決定(労災の各種給付を支給する決定)が出されるのが本来望ましい流れです。
しかし、事件の内容によっては、弁護士が労働者側の代理人となって労災の申請を行い、意見書などの提出をすることが重要となる場合があります。主なケースでは、 過労死、過労自殺、過労やパワハラによるうつ病等の発症など、労災に至るまでの過程が複雑なものが挙げられます。
意見書は、証拠保全手続などで集めた証拠資料に基づいて、
- 労災の発生に至る経緯
- 労災の認定基準を満たしていること
- 労働基準監督署が特に調査すべき事項
などを記載します。
労働基準監督署の調査官も、関係者に対する聞き取りや資料の収集を通して事実を調査しますが、調査官はあくまで中立の立場であること、調査官が調査を尽くしてくれるとは限らないことから、複雑な事案では労働者側から意見書を提出することが重要です。