給付基礎日額とは
労災と認定されると、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付などが支給されますが、その給付金額は、被災した労働者の被災直前の平均賃金をもとに算定されます。
具体的には、被災した労働者が被災直前3か月間に支払われていた賃金の合計をその期間の日数で割って1日あたりの平均賃金を算定します。これを給付基礎日額といいます。そして、給付基礎日額に一定の数値を掛けた金額が、各給付として支給されます。
たとえば、
- 休業補償給付(休業1日あたり)=給付基礎日額×0.6 円
- 障害補償一時金(後遺障害12級の場合)=給付基礎日額×156日 円
- 遺族補償年金(妻が受給者の場合)=給付基礎日額×153日 円
といったように算定されます(それぞれ上記の他に特別支給金が支払われるため、実際の支給金額は上記の金額より大きくなります)。
給付金額についての審査請求
しかし、労働基準監督署は、雇用主から提出された賃金台帳などの資料をもとに給付基礎日額を算定するため、雇用主が労働者に正当な残業代を支払っていなかった場合には、給付基礎日額が不当に安く算定されてしまい、その結果、各給付の給付金額も安く算定されてしまうことがあります。
特に、過労死・過労自殺のケースでは、雇用主が、労働者に長時間労働を強いる一方で、正当な残業代を支払っていないことが少なくないため、遺族補償給付の給付金額が不当に安く算定されてしまうことがよく見られます。
そのような場合には、労災が認定されている場合でも、認定の一部を不服として、給付金額について労災保険審査官への審査請求を行うことができます。審査請求で当初の給付基礎日額の算定の誤りが認められ、正当な給付金額が決定されると、既に受け取った給金額との差額を受給することができます。