労働者が不当解雇されたとき、納得できず解雇の無効を争いたいものの、当面の生活費が不安…という方もいらっしゃると思います。
この場合の対応策としては、主に次の3つが考えられます。
①雇用保険を仮受給する
職を失ったとき、一定の要件を満たしていれば、労働者は雇用保険の失業給付(求職者給付)を受給することができます。
一方、不当解雇を争うのであれば、労働者側は、「解雇は無効であり、自身はまだ従業員としての地位を有している」という主張をすることになります。
しかし、失業給付の受給は「職を失った」つまり「解雇された」ことが前提となるので、不当解雇を争ううえで矛盾が生じてしまいかねません。
このようなときには、「仮受給」をされることをお勧めします。
仮受給をする場合、ハローワークの職員に、「解雇は弁護士に依頼をして争うものの、当面の生活のため、失業給付を仮受給したい」ということを伝えてください。
通常、職員から訴状(または労働審判の申立書など)のコピーを提出するように言われます。
この方法であれば、解雇を争う意思を示したうえで「仮に」受給するだけなので、解雇を受け入れたということにはなりません。
解雇無効が認められ、会社に復職した場合には、受給した給付金は返還しなければなりませんが、その場合には、解雇されてから復職するまでの期間の給与が会社から支払われるため、マイナスにはなりません。
②アルバイトをする
不当解雇を争う場合、他の会社で正社員として就職してしまうと、解雇した会社に復職する意思はないと客観的に判断されかねません。
しかし、アルバイト程度であれば、元の会社に戻る意思がないと判断される恐れは少ないと言えます。
③仮処分申立をする
仮処分申立とは、裁判所を利用した手続きで、申立てから決定が下されるまでが1~2か月と非常に速いのが特徴です。
不当解雇では、賃金の「仮の」支払いを求めることができ、これが認められれば、毎月の給料日に、裁判所の定めた少なくとも生活に必要な額を会社から「仮に」受け取ることができます。
弁護士 四方 久寛(大阪弁護士会所属)