重大な労災事故が後を絶たないことから、様々な規則・指針において、労働者が安全な方法で作業できるよう、具体的な規制がなされています。 たとえば、会社は、以下の規則等に従った方法で労働者に作業させることが求められます。
●クレーン等安全規則
クレーンの安全装置が故障していたり、制限を超えた重量物をつり上げたりすると、クレーンの転倒や吊り荷の落下などの重大な労災事故につながります。
そのため、クレーンを安全に使用できるよう、次のような規則が定められています。
- 特定のクレーンを運転する労働者には安全のための教育をおこなわなければならないこと
- 定格荷重を超える荷重をかけて運転してはいけないこと
- 強風のため作業が危険であるときは作業を中止すること
- 定期的にクレーンを検査・点検すること
なお、この規則では、クレーンのほか、リフト・エレベーター・デリックについても規制されています。
●有機溶剤中毒予防規則
有機溶剤は、毒性が強く、扱いを誤れば人体に大きな影響を及ぼします。そのため、有機溶剤の取り扱いについて、次のような規則が定められています。
- 換気装置を設置・稼働させること
- 労働者が有機溶剤を吸入しないような方法で作業をさせること
- 特定の場合、定期的に作業場での有機溶剤の濃度を測定すること
- 特定の場合、労働者に防毒マスク等を使用させること
●コンベヤの安全基準に関する技術上の指針
コンベヤを使用する作業では、手・腕などを巻き込む労災事故が目立ちます。そのため、コンベヤを安全に使用できるよう、次のような規定がされています。
- コンベヤのベルト・ローラー等、労働者がはさまれたり巻き込まれたりする部分には覆いや囲いを設けること
- コンベヤの起動スイッチはコンベアが不意に起動するおそれのないようなものにすること
- コンベヤと他の物の間に労働者が挟まれることのないよう、コンベアを設置すること
- 非常停止装置を設置すること
- コンベアを設置する作業場は整頓しておくこと
●水産食料品製造業における労働災害防止対策の徹底について
魚の加工等をおこなう水産食料品製造業では、床が濡れていて滑る・障害物につまずく等の転倒事故や、機械を使用しての魚のカット作業中の労災事故が多くおきています。
そのため、厚労省から、次のような要請がされています。
- 床面の濡れや、通路の障害物はなるべく無くすこと
- 労働者に滑りにくい履物を使用させること
- 加工機械等の点検、掃除、修理等をおこなう場合、機械を停止してから作業をおこなうこと
- バンドソーを使用して冷凍魚のカット作業をする場合、切断に必要な部分以外に覆いを設けること。
●足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱
建設現場においては、労働者が足場から転落する事故が多くおきています。 そのため、厚労省から、次のような要請がされています。
- 高所での組立・解体作業が少なくて済む工法を採用すること
- 墜落を防止するため、極力すき間の少ない足場をつくること
- 足場組立て等にあたっては、基準に応じて「作業主任者」や「作業指揮者」を選任すること
- 労働者に安全衛生教育をおこなうこと