2019年6月3日より、名称を「四方法律事務所」から「大阪労災・労働法律事務所」に変更しました。

面談での法律相談が必要な理由-労働弁護士コラム

時々、「事務所に行って法律相談する前に、電話・メールで簡単な見通しだけでも教えてもらえませんか?」というお問い合わせをいただくことがあります。

相談者の立場からすると、困ったときにメール・電話で気軽に弁護士に相談できれば心強いでしょうし、高い法律相談料を払う前に、簡単な見通しだけでも教えてほしいという気持ちもよく分かります。

ただ、電話・メールだけで、しかも無料で見通しを教えてほしいとなると、どうしてもこちらの対応にも限界があります。

大阪労災・労働法律事務所では、予約のメール・電話をいただいた際に弁護士から事情の聞き取りをおこなっていますが、これは、当日お持ちいただく資料をお願いするためと、 場合によっては当日までに弁護士が何らかの準備(勉強)をしなければいけないことがあるので、そのためにおこなっているものです。

そうは言っても、ある程度お話を聞いていると「これは中々見通しが厳しそうだな」「これは請求が認められる可能性が大きい」と思うことはあります。
特に難しい印象を受けたときには、わざわざお越しいただいて相談料をお支払いいただくのも心苦しいので「今のところ見通しは厳しい印象ですが、ご希望があれば法律相談をお受けします」とお伝えすることもあります。

ですが、これ以上、電話・メールでの詳しい説明を求められたときには、 原則、回答をお断りさせていただいています。
電話・メールだけでは誠実な回答をすることができないからです。

「誠実な回答ができない」とは?

法律相談の流れ」でもふれたように、面談での法律相談では「相談者の方の話」と「客観的な資料」の2つを通して詳しく問題発生の経緯を確認することが重要となります。
通常、これには1~2時間かかります。

電話やメールのみでは資料が確認できないばかりか、コミュニケーションの手段が限られるため(相手の表情が見えない、身振りが使えない、時系列や資料を指し示しながらの聞き取りができない等)、より多くの時間を割いてやりとりをしなければいけませんが、無料での相談対応で、既に抱えている案件を差し置いて長時間対応することは現実的ではありません。
(そのようなことを延々とおこなってしまうと、依頼者の方に対しても失礼なことになってしまいます)

「今お話しした印象で、大体の見込みだけで良いので教えてください」と言われることもありますが、ここが弁護士と一般の方の認識のズレが大きい部分です。

一般的には「どうでもよい」と思われる細かい事実1つが法的な見込みを大きく左右することが少なくないからです。

実際に、電話で簡単に事情をお聞きした段階と面談で詳しく相談をお聞きした後では、問題に対する見解が大きく変わることがあります。

相談者ご本人は必要な情報を伝えたつもりでいても、重要な事実が抜け落ちていたり、時には本人の認識が誤っていたりするなど、「まさか」と思うことが起こりうるので、経験上、それを知っている身としては安易に回答することを躊躇してしまいます。

ですから、疑問1つ1つを明確に解消できなければ、こちらの回答としては 「できる可能性もあるし、できない可能性もある」という非常にぼんやりとした回答にならざるをえません。

さらに、弁護士としては絶対にしておきたいのがリスクの話です。
「この点はこちらが不利」 「この点は気をつけないと、足下をすくわれる」 といったリスクの話をせずに、 「できる可能性もありますよ」という部分のみ相談者の方に楽観的に受け止められてしまうと、 ご本人の不利益につながりかねません。

そうすると「できる可能性もあるし、できない可能性もある」という回答は、あまり意味がないばかりか、無責任なもの、誠実でないアドバイスになりかねないのです。

「親切な弁護士だったら見込みを教えてくれるはず」というイメージを抱いている方もいらっしゃいますが、実際には、そうとは限りません。
人間、顔を合わせて話をしてみないと分からないことが多いので、何か悩みがあるときには、面談での相談を利用されたほうが、相談者の方としても納得のいく話ができるのではないかと思います。

補足

例外の話

冒頭で「原則」電話相談はお受けしていないと言いましたが、例外もあります。

1つは、緊急の相談の場合です。
これは、大きなトラブルが起きて、数時間後から会社との話し合いがあるけれど、 どう対応してよいか分からない(急なので事務所に相談に行く時間もない)というようなケースです。
この場合には、緊急性や重要性が高いので、電話で対応させていただくことがあります。
ただ、この場合は法律相談の回答というよりも、現段階でできるアドバイスをおこなうという趣旨になります。

もう1つは、依頼をお引き受けした後の相談です。
既にある程度事情が飲み込めているので、電話でのお問い合わせにも応えることができるというわけです。
この場合でも、必要に応じて面談での打合せに移行することになります。

ネット上の質問サイトについて

ネット上で相談をすると、弁護士が文章で回答してくれるというサービスをおこなうサイトがありますが、これも先ほどと同じ理由でお勧めできません。

さらに踏み込んでいうと、こういったネット上の法律相談回答では正確とは言えないもの、誤っているものが散見されるので注意が必要です。

電話相談会について

電話での回答が難しいのであれば、時折開かれる「電話相談会」はどうなのかという話になります。

私も、何回も参加したことがありますが、 電話相談会の場合も、電話だけで常に正確な回答ができるわけではなく、必要に応じて、面談でのご相談をお勧めするのが一般的です。
そういった意味では、電話相談会は弁護士への相談のきっかけ作りの意味合いが強いともいえます。

ただ、電話相談会の場合は、 そのために弁護士が時間をあらかじめ確保しているので聞き取りに時間をかけることができ、 適切な回答がしやすくなるという利点があります。

弁護士 四方久寛(大阪弁護士会所属)