2019年6月3日より、名称を「四方法律事務所」から「大阪労災・労働法律事務所」に変更しました。

「法律相談」でおこなうこと-労働弁護士コラム

「法律相談」とは、言葉としては知っていても、 実際にどのようなものなのか、想像がつきづらいのではないでしょうか。

「法律相談とは何か?」ということを端的にまとめると、 「弁護士が相談者の抱えている問題を法的に整理して、その対処方法や見通しを説明すること」です。

どういうことなのか、今回のコラムは法律相談の流れについて説明します。

法律相談と依頼の違い

弁護士への法律相談というと「弁護士に依頼をする前段階」と捉えられがちですが、
まず理解していただきたいのが、実際には「法律相談」と「弁護士への依頼」は全く別物だということです。

お医者さんの世界で例えるならば、「法律相談」は「診察」の段階、 「弁護士への依頼」は「手術」の段階といったところです。

体調不良を感じてお医者さんの診察を受けても、よほどの事態でなければ「すぐに手術するべきです」と言われないのと同じで、 弁護士の場合でも、「すぐに弁護士が介入させてもらいます」となるとは限りません。

法律相談の流れ

もう一度お医者さんの分野と対比してみますが、診察は次の流れでおこなわれます。

①本人が病院に行き、自覚している体調不良を訴える
②医師が問診・検査をおこなう
③医師が、どのような問題があるのか診断する
④医師が治療方針を考える
(→必要に応じて手術をおこなう)

同じように、法律相談は次の流れでおこなわれます。

①本人が弁護士事務所に行き、自覚しているトラブルを訴える
②弁護士が補充で聞き取りをし、資料をチェックする
③法的に解決できる問題か考える
④問題解決のための方法を考える
(→必要に応じて依頼を引き受ける)

では、それぞれ詳しく説明します。

①本人が弁護士事務所に行き、自覚しているトラブルを訴える

まずは、相談にお越しいただくことから始まります。
そして、相談者が「弁護士に相談しよう」と思ったきっかけ、トラブルの内容をお聞きします。

ここで、「本人が自覚しているトラブル」というのが、ひとつポイントとなっています。

というのは、相談者が訴えたい問題と法的な問題の所在というのは、少しずれていることがあるからです。

時には、相談者の訴えとは全く違うところから思わぬ問題が発覚することもあります。

これは、お医者さんの世界でいうと、「患者が風邪だと思って来院したが、実際に診察してみると別の病気だった」または 「本人は全く自覚していない箇所に、病気があった」というようなケースです。
こういうことが、法律の世界でも起こりうるのです。

このあたりをきちんと整理するために、次の②のステップに入っていきます。

②弁護士が補充で聞き取りをし、資料をチェックする

①の聞き取りとほぼ同時並行でおこなうことですが、 必要に応じて、弁護士のほうから質問をします。

良いアドバイスをするためには、 問題が発生した経緯、 問題が発生した結果(被害の状況)、 問題発生後の状況といったことを詳しく把握しなければいけません。

ですから、 「いつ」「誰が」「何を」 といった細かいことを逐一確認していきます。

トラブルを訴える相談者の方からは 「そんな細かいことは置いておいてまずは私の話したいことを全部言わせてもらいたい」 と言われることもあります。

それももっともな話なのですが、 できるかぎり良いアドバイスをするために その「細かいこと」を確認していくのがとても重要なので、 ひとつご了承いただきたいところです。

また、これも必要に迫られてすることなのですが、 弁護士からは、時には嫌な質問もしなければいけません。

辛かったできごとをお聞きすることや、 プライバシーに踏み込む質問をしなければならないこともあります。

もちろん、そういった質問をするときには 弁護士も最大限配慮をします。
とはいえ、どのような質問の仕方をしても 内容が内容なだけに、どうしても不愉快な思いをさせてしまう可能性は否定できません。
この点については、弁護士自身がまずその認識をもつことが大切だと思っています。

そして、聞き取りと同時に、持参してもらった資料に目を通します。
この資料チェックもとても重要で、「どのような証拠があるか」という観点からはもちろん、「事実の把握」にも欠かせません。

もちろん、相談者のお話からも事実の把握をおこないますが、 よほど記憶力のある人で無い限り、 どこかしらあやふやな部分があったり時には記憶間違いがあったりします。

そのような誤った記憶を元にアドバイスをしてしまうと後々困ったことになりかねないので、 「相談者の方の話」と「客観的な資料」の2つを通して、なるべく正確な事実を把握していきます。

③法的に解決できる問題か考える

さて、問題の経緯があらかた分かったところで、 次は「この問題は、法律を利用して解決できる見込みがあるか?」を考えていきます。

ここで何がポイントとなるかはトラブルの種類により異なるのですが、

「何かを請求したい」あるいは「請求されている」という相談であればまず「違法性があるかどうか」ということがポイントになります。
たとえば、法律上支払わなければいけない残業代が未払いになっていれば、これは違法性があるので、「法律を利用して請求することができる」という考えになります。
(正確には、より多くの視点から請求の可否を検討しますが、今回は割愛します)

検討した結果、トラブルによっては、法律を利用して解決できる類型ではないと判断されることもあります。
ただ、この場合にも、何かできることがないか、次の④のステップで考えていきます。

④問題解決のための方法を考える

問題解決のためにどのようなことができるのか、具体的な方法を考えていきます。

③で、法的な解決が難しいと思われた場合にも、相談者自身で何かできることがあればなるべく具体的にアドバイスします。
場合によっては、他機関や他団体を紹介することもあります。
(労働問題の場合には、労働組合を紹介するなど)

弁護士が介入するのが望ましいと判断されるときには、弁護士へのご依頼をお勧めします。

もちろん、弁護士が依頼を勧めたからといって、 絶対に弁護士に依頼をしなければならないということはありません。

弁護士が依頼をお引き受けして、一体何ができるのか?ということについては、 相談内容により様々な可能性があるので、ここでは説明しきれませんが、 今後のコラムで少しずつお話ししていく予定です。

弁護士 四方久寛(大阪弁護士会所属)