労使協定とは、雇用主と労働者との書面による協定のことで、労働基準法などによって定められた労働条件の原則について、協定を結ぶことを条件として例外を認めることを目的とするものです。
たとえば、労働基準法第36条は、1日8時間、1週間40時間以内という労働時間の制限(法定労働時間)を設けていますが、雇用主と労働者が労使協定(36協定)を結ぶことで、労働者に法定労働時間を超えて労働をさせることが可能となるのです。
労使協定が必要となる場面
労使協定が必要となる場面には、次のようなものがあります。
- 賃金の一部控除を認めるための労使協定(労働基準法第24条第1項)
- 法定労働時間を超える時間外・休日労働を認める労使協定(36協定)(労働基準法第36条第1項)
- 事業上外労働のみなし労働時間を定める労使協定(労働基準法第38条の2第1項)
- 専門業務型裁量労働制を導入するための労使協定(労働基準法第38条の3第1項)
労使協定を結ぶための手続き
労使協定は、
- 職場に労働者の過半数で組織する労働組合が存在するときはその労働組合
- 職場に労働者の過半数で組織する組合が存在しないときは、職場の労働者の過半数を代表する者
と雇用主との間で書面で結ばれます。
労使協定は、労働基準法などによって定められた労働条件の原則について例外を認めるものですから、労働者の過半数を代表する者は、労働者の利益を代表して労使協定を結ぶにふさわしい者でなければなりません。ですから、労働基準法上の管理監督者であってはなりませんし、代表者の選出は、労働者の投票や挙手などの民主的手続きによる必要があります。また、労働基準監督署への届け出が必要とされている労使協定もあります。
適切な手続きがとられていなかった場合には、労使協定は無効となります。したがって、たとえば、専門業務型裁量労働制を導入するための労使協定を結ぶために適切な手続きがとられていなかった場合には、専門業務型裁量労働制の導入は無効となり、実際に労働した時間に応じて割増賃金が支払われなければならないことになります。