労災事故の損害賠償解決事例(バンドソーによる切断)

労災事故の発生


※プライバシー保護の観点から、事案の本質を損ねない範囲で変更を加えています。

Aさんは、食品工場で、台に固定されたバンドソー(電動のこぎりの一種)を使用して冷凍魚をカット加工する仕事をしていました。カット済みの冷凍魚を取り出すには、バンドソーの刃に手を近づけなければなりませんでしたが、刃が回転している状態で手を近づけることは非常に危険でした。しかし、いったん電源を切ると刃の回転速度が上がるまでに時間がかかることから、Aさんの上司は、電源を切らずにカット済みの冷凍魚を取り出すよう、Aさんに指導していました。

Aさんが、上司の指示に従い、刃を回転させたまま、カット済みの冷凍魚を取り出そうとしたとき、Aさんの指が刃にあたり、指を切断してしまいました。

Aさんからの相談

Aさんは、入社して間もない時期に労災事故に遭っており、バンドソーの構造や仕組みを余りよく理解できていませんでした。
弁護士から、事故が起きた詳しい経緯や、指がどのように刃に当たり受傷してしまったのか、ということを聞きとりしましたが、刃とAさんの体の位置関係や、実際の作業の様子を言葉に出して説明するのは難しかったため、入手したバンドソーの写真を参考にして、原寸大の模型を作成しました。そして、模型を使用して作業の様子を再現することで当時の状況を正確に確認することができました。

労働審判による解決

Aさんは非常に危険な方法での作業を命じられており、また、作業にふさわしい保護具(特殊な手袋など)も使用させてもらっていなかったことから、会社の安全配慮義務違反は明らかでした。そのため、労働審判手続きを利用し、早期に解決することができました。

申立の際、参考資料として、模型を使用して作業の様子を再現した写真も裁判所に提出しましたが、これによって、裁判官にも、いかにバンドソーが危険なものであったか、また、Aさんが危険な作業方法をさせられていたか、ということを分かりやすく主張することができました。

四方弁護士からのコメント

労働審判は、原則3回という短期間で解決できるところが利点ですが、一方で、事故発生の経緯が複雑な労災事故のように、審理に時間がかかる事案は裁判官に敬遠される傾向があります。この事案では、模型を活用し、分かりやすく事故の経緯の主張をすることで、早期解決につなげることができました。