60歳以上労災死傷者急増、4分の1占める 転倒、腰痛 サービス業で

毎日新聞で、次のような報道がありました。

労働災害を巡り、60歳以上の死傷者が増加している。厚生労働省によると、昨年は3万3246人で、この5年間で7500人近く増えた。その割合も全体の4分の1を占め、主にサービス業での転倒や腰痛などが増加傾向にある。人手不足が深刻化する中、体力の衰えた60歳以上の労働者が増えてきているためで、厚労省の有識者検討会は年内にも健康管理や業務上の配慮など必要な対応策をまとめた指針を策定する。(毎日新聞HPより)

人手不足とシニア層の労災

60歳以上の労災事故が増える1番の原因は、記事にもあるように「深刻な人手不足」でしょう。

若手の人材が確保できなくなり、今までは若手が担ってきていたような作業も中高年の労働者がやらざるをえないという事態は、多くの職場で発生しています。

また、働き手の側(シニア層)も、老後の生活を見据えると経済的に厳しく、大変な思いをしてでも仕事をしなければいけないという一面もあると思います。

なお、人手不足によって、高齢者だけではなく、外国人労働者・技能実習生の労災も同様に増加しています。

人手不足というのは、根本的には少子化問題ですが、今後も改善される見通しは立って居らず、これらの傾向は今後ますます大きくなると思われます。

サービス業の転倒の原因は「体力の衰え」だけではない

60歳以上のサービス業の転倒が増えている原因は、「体力の衰え」だけではなく、職場環境の問題がある場合も少なくありません。

サービス業における「転倒」では、労働者の年齢にかかわらず、床が濡れていて足が滑る、狭い通路に物が放置されていて足をとられてしまう、というケースが散見されます。

労働者の側に「足腰の機能が多少弱まっている」という事情があったとしても、職場の安全管理に大きな問題がある場合、会社の安全配慮義務違反が認められ、後遺症が残るような重大なケースでは損害賠償請求を検討することも大切です。

70代男性の労災事故の解決事例

弊所に相談に来られるのは、30~50代の方が中心ですが、以前、70代の男性の労災事故を扱ったことがあります。

屋根の修理作業中、転落してしまい大けがを負ったという事故なのですが、その方は製造補助員として雇われた方で、高所作業の経験はなく、また、墜落防止措置は一切とられていませんでした。

このケースでは、会社の安全配慮義務違反が明らかといえ、任意交渉のみで納得のいく水準で和解することができました。

たとえ労働者が高齢だったとしても、労災事故の責任は、必ずしも本人のみにあるわけではありません。会社に落ち度が認められれば、適切な補償を求めることが重要です。