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労働審判とは

労働審判とは

労働審判は、労働事件特有の裁判手続きです。労働事件について、裁判官1人と専門的な知識・経験をもつ労働審判員2人(労働者側1人、使用者側1人)で構成する労働審判委員会が、原則として3回、3か月程度の期間の非公開の審理で解決します。

労働審判の手続の進行

労働審判は手続きの進行が早いのが特徴です。
労働審判の申立ては、地方裁判所に、労働審判申立書を提出して行います。申立があると、40日以内に第1回期日が開かれます。双方当事者(申立人と相手方)は、第1回期日までに答弁書や補充書面などの書面、書証を提出して、早期に的確な主張、立証を行わなければなりません。

労働審判では、民事訴訟と異なり、第1回期日から、労働審判委員会、特に裁判官が、積極的に双方当事者に質問をし、事件に関する事情を確認していきます。場合によっては、関係者から事情を聴取することもあります。また、双方当事者も、他方当事者や関係者に対して質問をすることができます。

ある程度事実関係が明らかになると、労働審判委員会は、早ければ第1回期日から、遅くとも第2回期日には、調停案を提示します。その結果、双方当事者間に合意が成立すれば、調停の成立によって労働審判は終結します。双方当事者間に合意が成立しない場合には、労働審判委員会から審判が下されます。

審判の効力

審判には、和解と同じ効力があります。
けれども、審判に不服がある当事者は、2週間以内に異議を申し立てることができます。異議が申し立てられた場合には、審判の効力がなくなり、労働審判と同じ内容の訴訟が開始されます。

労働審判での解決に適している事案

労働審判は、申立てから3か月程度の期間で終了すること、厳格な審理手続きが定められていないこと、和解による柔軟な解決を目指す手続きであることから、次のような事案に利用するのがよいでしょう。

  • ある程度譲歩してもよいので、早期に解決したい。
  • 事案が単純なので、裁判に時間をかけたくない。
  • 証拠が必ずしも十分とはいえないため、厳密な認定によらずに和解したい。

なお、労働審判では、原則として3回の審理で解決を目指すため、当事者は、初回までに事件に関する資料をできる限りすべて提出し、早期に的確な主張、立証を行う必要があります。そのため、労働審判を申し立てる場合には、労働問題を扱っている弁護士に依頼することが大切です。

労働審判の申立ができる裁判所

裁判所には、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所がありますが、このうち労働審判の申立ができるのは地方裁判所だけです。
さらに、地方裁判所には、本庁と支部がありますが、労働審判の申立は本庁でのみおこなえます。

大阪府でいえば、大阪地裁本庁と、大阪地裁堺支部、大阪地裁岸和田支部の2つの支部がありますが、労働審判ができるのは大阪地裁本庁のみです。

労働者本人も出席することになります

一般的な訴訟では、尋問のときを除き、労働者ご本人が訴訟に出席する必要はありません。しかし、労働審判では、労働者ご本人も参加し、裁判官をはじめ労働審判員からの質問に回答することになります。

これは、当事者から話を聞くことで、短期間で柔軟な解決をおこなおうとする労働審判制度の趣旨が反映されたものです。
そのため、労働者だけではなく、会社側からも当事者が参加することになります。問題が発生した事情をよく知る人が参加しますので、中小企業であれば社長本人が参加することも少なくありません。

Q労働審判の日程は、いつ決まりますか?

A 労働者ご本人にも出席していただくことから、日程の都合がつくか心配される方もいますが、労働者側から申立をする場合、労働者の方の都合に配慮されますから大丈夫です。

具体的には、まず、労働審判の申立手続きを弁護士がおこなった後、裁判所が弁護士にいくつか候補日を伝えてくれます。そのとき、弁護士と労働者ご本人とで期日(日時)を調整して、都合の良い日時を裁判所に回答することで、第1回期日が決まります。

ですから、こちらから申立をする場合、裁判所に一方的に日時を指定され、都合が悪く参加できない、ということにはなりません。

逆に、まれにあるケースですが、会社が労働者を相手方として労働審判を申し立てた場合、労働者は一方的に期日を指定されることになります。その場合、申立書と一緒に同封されている「期日呼出状」という書類に、労働審判の第1回期日の日時が記載されています。
なお、第2回期日は、第1回期日の終わりに当事者間で調整をして決定をすることになります。