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残業代請求の相談先を選ぶポイント

ネットで残業代請求に関する専門家を探すと、たくさんの相談先がでてきます。
調べれば調べるほどいろいろな情報が目に入るので、「結局どこに相談すれば良いか分からない」と途方にくれてしまう方もいるのではないでしょうか。

残業代請求は、簡単なようでいて難しいので、様々な知識・経験があって、きちんと対応できる弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。

具体的にどの弁護士が良いかは、実際に依頼してみなければ分からない部分も多いですが、相談前・依頼前に最低限注意をしたほうがよい点はあります。

以下、それらをご紹介します。
先に「残業代請求をめぐる弁護士業界の今昔」をお読みいただければ、以下のポイントについて、より理解がしやすくなります。

弁護士を選ぶポイント

①誇大広告ではないか

最近、実態とかけ離れて、労働事件や残業代請求を専門的におこなっている弁護士であるかのような誤解を与えるホームページを開設している弁護士が目につきます。
交通事故や離婚、相続、債務整理など他の様々な業務もおこなっていて、必ずしも残業代請求業務を専門的におこなっているわけではないのに、法律事務所のホームページとは別に、独立した労働事件や残業代請求のホームページを開設することによって、専門性をアピールする手法です。

残業代請求以外の法律問題にも取り組むのは、弁護士にとっては普通のことで、それ自体は悪いことではありません。ただ、実態とかけ離れて専門性があるかのような記載をするのは、少なくとも誠実ではないといえます。
検索をしてヒットをした専門サイトだけではなく、法律事務所のHPを見ることによって、その弁護士がどのような分野に取り組んでいるか確認することができます。

また、ポータルサイトにも注意が必要です。
ポータルサイトというのは、弁護士でない業者が「残業代請求に強い」と謳う弁護士を集め、紹介するようなサイトです。

これらに登場する弁護士は、あたかも残業代請求の専門家であるかのような印象を与えますが、実際には、業者が残業代請求事件の集客を希望する弁護士から広告料を受け取って掲載しているだけで、その専門性については何らの確認もしていない者が多いのです。

紹介サイトのほか、雑誌などに掲載される「頼りになる弁護士○○選」などというのも、実は単なる広告に過ぎないということもあります。

②詳細な事情聴取をおこなっているか

どれだけの額の残業代を請求できるか計算するには、詳細な事情聴取をおこなうことが必要です。
たとえば、タイムカード、給与明細書、就業規則などの様々な資料を確認しながら、割増賃金の計算の基礎になる賃金の範囲、業務の状況、労働時間を裏付ける証拠があるか否か、といったことを確認します。

ところが、中には事情聴取をほとんどおこなわない弁護士もいます。
このような弁護士は、1件1件をきちんと丁寧に解決する姿勢がないといえます。

特に、

  • 事情聴取を事務員がおこなう
  • 定型的なポイントしか聞き取りをおこなわない
  • チェックリストのみに従って聞き取りをおこなう
  • 電話でのやりとりだけで受任をしたり、聞き取りを終えたりする

という対応をする弁護士は問題外です。

③費用に不適切な点はないか

残業代請求を扱う弁護士が増えるにつれ、弁護士費用の価格競争も激しさを増しています。
ただ、HPで「格安」とアピールしていても、実際には他の弁護士と比べてあまり変わらなかったり、むしろ高額であったりする場合もあります。

特に、次のようなケースでは注意が必要です。

  • 必要となる費用について、依頼前に説明しない
  • 委任契約書(費用に関する取り決めをしたもの)を渡してくれない
  • 初期費用がかからない代わりに、成功報酬が高額

また、費用が安い弁護士であるほど、依頼者が得をするとは限りません。
いくら弁護士費用が安くても、本来よりも低額の和解に応じてしまったり、高額の成功報酬を支払ったりすれば、結局依頼者の手元に残る利益は少なくなってしまうからです。
ですから、必要以上に価格に拘るのはお勧めできません。

④事件を選り好みしていないか

残業代請求業務を宣伝している弁護士の中には、相談者が他にも労働問題を抱えていて、それらを一括で受任することが明らかに望ましいにもかかわらず、残業代請求だけ引き受け、他の労働問題については他の弁護士への依頼を促すという対応をとる人もいます。
こうした弁護士は、依頼者の利益よりも自身の利益を優先させているので、一括して問題の解決を依頼できる弁護士を探したほうがよいでしょう。

弁護士以外の専門家について

(特定)社会保険労務士、(認定)司法書士など、弁護士以外の専門家が残業代請求を業務に掲げていることもあります。
ただ、以下の理由から、こういった専門家に相談・依頼をするのはお勧めできません。

  1. 法律問題を解決することに関しては、基本的に専門外である
  2. 利用できる手続きが乏しく、会社に拒否をされると打つ手が無い
  3. 弁護士に依頼するより費用が安いとは限らない
  4. 途中で弁護士に依頼し直さなければいけないこともある

上記の点を適切に説明せず、あたかも弁護士同様の手続きがおこなえるかのような宣伝をしている例も散見されます。
こうした情報を鵜呑みにせず、リスクをきちんと理解することが大切です。