裁量労働制の悪用

裁量労働制とは

裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある特定の業務について、労働者が実際に何時間労働したかにかかわらず、労使協定などで定める一定の時間(当該業務の遂行に通常必要とされる時間)労働したものとみなす制度です。
裁量労働制には、

  • 専門業務型裁量労働制
    (研究開発、システムエンジニアなど専門性の高い業務が対象)
  • 企画業務型裁量労働制
    (事業運営に関する企画、立案、調査、分析の業務が対象)

があります。
裁量労働制が採用されている職場では、たとえば、対象となる労働者が1日に12時間労働したとしても、当該業務の遂行に通常必要とされる時間として定められた時間が7時間であれば、時間外割増賃金は支給されません。

裁量労働制の要件

裁量労働制を採用するためには、

  1. 裁量労働制を採用することが可能な業務であること
  2. 裁量労働制の採用に必要な手続きがとられていること

ことが必要です。
具体的には、専門業務型裁量労働制の場合、

  1. 厚生労働省令で定める業務(研究開発、システムエンジニアなど19業務)に該当し、業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があり、遂行の手段や時間配分について使用者が具体的な指示をすることが困難な業務であること
  2. 職場の過半数代表などとの間で結ばれた労使協定によりみなし労働時間等が定められていること

などが必要です。
また、企画業務型裁量労働制の場合には、

  1. 事業運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析の業務で、業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、遂行の手段や時間配分について使用者が具体的な指示をしないこととする業務であること
  2. 労使委員会の決議によりみなし労働時間等が定められており、個別の労働者の同意があること

などが必要です。

裁量労働制を悪用した残業代の不払い

裁量労働制は、本来、業務の性質上その遂行の方法を労働者にゆだねる必要があるという理由で認められた制度です。 それにもかかわらず、業務遂行の方法を労働者にゆだねる必要がなかったり、業務遂行の手段や時間配分について使用者が具体的な指示をしている場合でも、裁量労働制が採用され、時間外割増賃金が支払われていないケースが多く見られます。

また、労使協定を結ぶ手続きに問題があるなど、裁量労働制を採用するのに必要な手続きがとられていないことも少なくありません。 そのような場合には、裁量労働制の採用は認められませんから、労働者は、原則通り時間外割増賃金を支払ってもらうことができます。

残業代請求の解説ページ