嫌がらせによるうつ病など

ハラスメントによってうつ病やPTSDを発症したときは、まずは労災の申請を

ハラスメントによってうつ病やPTSDなどの精神障害を発症した場合、労災を申請することができます。労災と認定されれば、労災保険から療養補償(治療費の全額)や休業補償(休職中の給与の8割)が支払われます。

雇用主や加害者に対して損害賠償請求をすることもできますが、その前に、労災を申請し、労災の認定を受けておくべきです。

損害賠償請求が認められるためには、「ハラスメントによってうつ病やPTSDを発症した」という因果関係がなければなりませんが、労災と認定されれば損害賠償請求の手続きにおいても因果関係が認められやすくなるためです。 また、労災と認定されれば、うつ病やPTSDで休職していても、原則として解雇や退職扱いにすることはできません。

労災と認められるには

うつ病やPTSDといった精神障害を発症した場合の労災の手続では、

  • セクシャルハラスメントを受けた
  • ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた
  • 退職を強要された

といった、心理的な負荷(精神的な負担)を受けた出来事があったかが重要です。 そうした出来事があればただちに労災と認定されるわけではありませんが、出来事の内容・程度・影響等から見て心理的負荷が強い出来事であったと判断されれば、労災と認定されます。

また、労災と認定されるためには、意見書を提出して、上記のような出来事により心理的負荷を受けたことを詳しく申告することが重要です。

ハラスメントによるうつ病やPTSDで休職した場合、
解雇や退職扱いは許されません

ハラスメントによって労働者がうつ病やPTSDなどの精神障害を発症して休職し、就業規則に定められた休職期間が満了になると、雇用主は、労働者を解雇したり、退職したものと扱ったりすることがよくあります。

しかし、法律上、労災による休業期間中は原則として労働者を解雇することはできませんから、ハラスメントによるうつ病やPTSDなどの精神障害について労災の認定を受けていれば、解雇や退職扱いの無効を主張することができます。

ハラスメントによってうつ病やPTSDを発症した場合の損害賠償

ハラスメントによってうつ病やPTSDなどの精神障害を発症した場合、雇用主や加害者に対して、損害賠償請求をすることもできます。損害賠償の内訳は、治療費、仕事を休んだ期間の休業損害、治療期間の長さに対応した慰謝料などです。

なお、休職中に雇用主から解雇されたり、退職したものと扱われたりした場合に、解雇や退職扱いの無効を主張するのであれば、仕事を休んだ期間の休業損害に代えて、その期間の賃金の支払いを求めることになります。

うつ病やPTSDを発症していない場合のハラスメントの損害賠償

ハラスメントは違法行為であり、たとえそれによってうつ病やPTSDなどの精神障害を発症していなかったとしても、ハラスメントによって労働者が精神的苦痛を受けたと認められる場合には、雇用主や加害者に対して、慰謝料の支払いを求めることができます。慰謝料の額は、ハラスメントの内容・程度・期間・結果によって20~200万円程度になります。

ただ、パワーハラスメントの場合、それによって労働者が精神的苦痛を受けたと認められるには、業務上の指導の範囲を逸脱している必要があります。暴力や個人の人格を否定するような暴言があったり、他の労働者の面前で大声で叱責を繰り返したりというような場合には、業務上の指導の範囲を逸脱していることは明らかですが、その他の場合には、業務上の指導との区別がつきにくい場合も少なくありません。