残業代請求の解決事例(管理監督者性が争われた事例)

※プライバシー保護の観点から、事案の本質を損ねない範囲で変更を加えています。

事案の概要

Aさんは、X会社が経営する飲食店で、連日長時間労働に従事していました。月100時間を超える過酷な残業をさせられていたにもかかわらず、Aさんには適正な残業代は支給されていませんでした。

証拠保全による資料の収集

X会社では、タイムカードで労働時間が管理されていましたが、Aさんは、上司の指示により、実際の出勤よりも遅く、また、実際の退勤よりも早くにタイムカードを打刻させられていました。
一方で、X会社には、Aさんの実際の労働時間が正しく記載されているシフト表が保管されていたことから、弁護士が証拠保全の手続きをおこなうことで、シフト表のコピーを入手することができました。

労働審判による解決

弁護士は、シフト表に基づいて残業代を計算したうえで、労働審判を申し立てました。 すると、会社側弁護士からは、Aさんは店長代理の立場にあり、管理監督者に該当することから残業代を支払う必要はない、という主張をされました。
しかし、Aさんによれば、自身が店長代理の肩書きであるというのは寝耳に水の話だということであり、会社側の「Aさんは管理監督者であった」という主張は、残業代支払いを拒否するための後付けの主張であることが明らかでした。
Aさんの労働の実態としても、到底管理監督者に該当するものではなかったことから、労働者側弁護士からは、以下のような反論をおこないました。

  • Aさんには出退勤の自由が認められていなかったこと
  • Aさんは部下のパート従業員に対して簡単な指示しかおこなっておらず、統括的な指揮監督は店長がおこなっていたこと
  • Aさんには採用の権限が与えられていなかったこと
  • Aさんには調理器具などの備品を購入する権限もなかったこと
  • AさんはX会社の詳細な経営情報を伝えられていなかったこと

結果、裁判所には、Aさんは管理監督者には該当せず、残業代を支払われるべき労働者であることを認めてもらうことができました。

四方弁護士からのコメント

証拠保全は、裁判所における特殊な手続きですから、特定の要件を満たさなければ実行することはできません。そのため、どのような事案でも証拠保全をできるわけではありませんが、この事案のように、会社の態度が悪質で、有益な資料があることが分かっている場合には、手続きを検討するべきです。

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