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手指の後遺障害(労災)

手指の後遺障害は、機械への巻き込まれ・挟まれ・切断により生じるのが典型例です。

手指の後遺障害には、次の2つの分類があります。

  1. 欠損障害(指の切断)
  2. 機能障害(指の動きが制限されるようになった)

・痛みや感覚障害は、神経系統の障害として認定されます。

腕(手首~肩)の障害については、こちらをご覧ください。

欠損障害(指の切断)

後遺障害等級表

等級 身体障害 労災保険による補償
第3級の5 両手の手指の全部を失ったもの 給付基礎日額の245日分(年金)
第6級の7 一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失ったもの 〃156日分(年金)
第7級の6 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指を失ったもの 〃131日分(年金)
第8級の3 一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指を失ったもの 給付基礎日額の503日分(一時金)
第9級の8 一手の母指又は母指以外の二の手指を失ったもの 〃391日分(一時金)
第11級の6 一手の示指、中指又は環指を失ったもの 〃223日分(一時金)
第12級の8の2 一手の小指を失ったもの 〃156日分(一時金)
第13級の5 一手の母指の指骨の一部を失ったもの 〃101日分(一時金)
第14級の6 一手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 〃56日分(一時金)

認定の基準

「手指を失ったもの」とは

「手指を失ったもの」とは、母指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節以上を切断により失った状態です。

より具体的には、次の状態が該当します。

  • 手指を中手骨又は基節骨で切断した
  • 近位指節間関節(母指の場合は指節間関節)において、基節骨と中節骨とを離断した

手指の関節イラスト

専門用語が多く難しいですが、親指の場合は第1関節を切断したとき、それ以外の指(人差し指、中指、薬指、小指)の場合は第2関節を切断したときに該当すると考えると分かりやすいでしょう。

なお、カルテや診断書では、指節間関節は「IP」、近位指節間関節は「PIP」と記載されることもあります。

手関節(手首)以上を失った場合

手関節(手首)以上を失った場合には、上肢の欠損障害として扱われます。

「指骨の一部を失ったもの」とは

「指骨の一部を失ったもの」とは、1指骨の一部を失っている(遊離骨片の状態を含む)ことがエックス線写真等により確認できる状態をいいます。

母指延長術について

母指延長術をおこなった場合、切断時よりも母指の長さは延長されますが、後遺障害は、原則、「1手の母指を失ったもの」(第9級の8)として認定されます。ただし、術後の母指が、健側母指と比べて明らかに指節間関節を超えている場合には、欠損障害ではなく機能障害(「1手の母指の用を廃したもの」第10級の6)として認定されます。

母指機能再健化手術について

失った母指を再健するため、他の手指や足指を移植する手術が行われることがあります。

これは決して珍しいことではなく、私の依頼者でも、医師と相談のうえ選択することが多い手術です。

この場合、術後の母指の障害と、この手術により失うことになった指の欠損障害を同時に生じた障害とみなし、準用または併合の方法により障害等級が認定されます。

機能障害(指の動きが制限されるようになった)

後遺障害等級表

等級 身体障害 労災保険による補償
第4級の6 両手の手指の全部の用を廃したもの 給付基礎日額の213日分(年金)
第7級の7 一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの 〃131日分(年金)
第8級の4 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指の用を廃したもの 給付基礎日額の503日分(一時金)
第9級の9 一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指の用を廃したもの 〃391日分(一時金)
第10級の6 一手の母指又は母指以外の二の手指の用を廃したもの 〃302日分(一時金)
第12級の9 一手の示指、中指又は環指の用を廃したもの 〃156日分(一時金)
第13級の4 一手の小指の用を廃したもの 〃101日分(一時金)
第14級の7 一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの 〃56日分(一時金)

認定の基準

「手指の用を廃したもの」とは

「手指の用を廃したもの」とは、次の①②③の状態を指します。

①手指の末節骨の半分以上を失った

②中手指節関節もしくは近位指節間関節(母指の場合は指節間関節)に、著しい運動障害が残っている

  • 中手指節関節または近位指節間関節(母指の場合は指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限される状態
  • 母指の場合、橈側外転または掌側外転のいずれかが健側の1/2以下に制限される状態

③手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失した

医学的に感覚神経が断裂しうる外傷を負い、感覚神経伝導速度検査によって、感覚神経活動電位(SNAP)が検出されない場合に認定されます。

「遠位指節間関節を屈伸することができない」状態とは

次のいずれかの場合、「遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」に該当します。

  • 遠位指節間関節が強直した
  • 屈伸筋の損傷等原因が明らかで、自動で屈伸ができないもの又はこれに近い状態にあるもの

弁護士四方の解決事例(損害賠償請求)

  • コンベア洗浄時に、手指を挟まれ、右示指末節骨を欠損した事例(14級の6)
  • 機械の操作中、部品に右手が挟まり、右小指PIP関節可動域が拘縮(健側可動域の1/2以下)した事例(13級の4)
  • 食品工場で作業中、切断機で左手指を切断し、末節骨の長さの2分の1以上を欠損した事例(12級の9)
  • 金属加工作業中、ベンダーに右手が巻き込まれ、右母指IP関節が強直し、右中指PIP関節の運動可動域が健側のそれに比して2分の1以下に制限された事例(9級の9)
  • プレス機に右手が挟まれ、右示指・右中指は、中手骨の一部を残しその先を亡失し(9級の8)、右手指の母指は、指節間関節及び中手指節が強直(10級の6)した事例(準用等級8級)

弁護士 四方久寛(大阪弁護士会所属)