過労自殺とは

日本では、連日長時間残業をしたり、休日にも出勤したりする労働者が少なくありません。さらに、そうした労働者は、多くの場合、職場の人間関係のトラブルや厳しいノルマの達成など、様々な心理的ストレスにさらされながら働いています。

しかし、人間の体には限界があります。休息が十分にとれず、強いストレスにさらされれば、それが病気の発症につながることもあります。

過労自殺とは、長時間労働や様々なストレスによる精神的・身体的負担のために、うつ病などの精神障害を発症し、自殺にいたることをいいます。

うつ病等は、誰でも発症する可能性があります

うつ病等については、まだ、「弱い人間がなるもの」という偏見が一部に残っています。
しかし、うつ病等の精神障害は、強いストレスにさらされ、十分な休息がとれないほど仕事に打ち込んだ労働者であれば、誰にでも起こりえます。

たとえば、今、アメリカではイラク戦争の帰還兵のPTSD(心的外傷後ストレス障害)が社会問題となっています。どんなに専門的な訓練を受けた軍人であっても、強いストレスを受ければ、精神障害を発症してしまうのです。

発症に至るまで

うつ病等の発症は、労働者ご本人やご家族の意思だけでは防ぎきれません。一般的に、労働者は会社から仕事を与えられれば、それを拒むことは難しいですし、労働者の意思で職場環境を変えることはできないからです。

ですから、会社には、労働者が働き過ぎに陥ったり、職場環境が極度に悪くなったりしないよう、配慮をすることが求められているのです。

過労自殺は、「選択された死」ではありません

過労自殺が起きてしまったとき、「どうして自殺してしまったのか」と思われる方もいます。
しかし、自殺は、労働者が自身の意思で選択したものではないのです。

うつ病を発症すると、

  • 悲観的な考え方をする
  • 意欲の低下(様々なことをおっくうに感じる)
  • 自己評価の低下

などの症状があらわれるほか、「死にたい」という衝動に駆られることがあります。これを、医学用語で「希死念慮」といいます。

他の人から見れば、「なぜ自殺しなくてはならなかったのか」と思われる状況であったとしても、本人はどうしても「死にたい」という気持ちが抑えられないのです。これは病気の症状であって、本人の意思だけでコントロールできるものではありません。

通常であれば、職場で何か問題が起きたとき、「誰かに相談しよう」などと対処法を考え、他の人に助けを求めることができます。
しかし、うつ病等を発症した場合、冷静に物事を考える力(判断力)が低下しているため、適切に対処法を考え行動することもできません。

希死念慮 過労自殺に至るまで

こうして、うつ病等の症状により、自殺に追い込まれてしまうのであって、本当に死にたくて自殺をするのではありません。それは、大切なご家族がある方であれば、なおさらです。

うつ病以外の精神障害

希死念慮(死にたい気持ち)があらわれる精神障害は、うつ病だけではありません。
「自殺する前の様子がおかしかったけれど、うつ病とも違う気がする」という場合には、うつ病以外の精神障害を発症していた可能性もあります。

たとえば、気分が非常に高揚する時と、抑うつ状態が交互にあらわれる「躁うつ病」、抑うつ症状の他に問題行動(無断欠勤や反抗的態度など)があらわれる「適応障害」などを発症した結果、過労自殺に至ることもあります。

過労自殺に関する手続き

過労自殺が起きてしまったとき、証拠保全手続きによって資料を収集することで、会社でどのようなことが起きていたのか知ることができます。
さらに、労災申請をして、認定をされれば、労災保険より様々な給付を受けることができます。
また、会社に対する様々なお気持ちがあれば、会社に対し損害賠償請求をすることもできます。

それぞれの手続きについて、詳しくは

のページをご覧ください。

会社による配慮の現状

「パワハラ」「過労自殺」という言葉は、メディアでも取り上げられるようになり、社会に浸透してきています。職場環境が著しく悪い会社を指す「ブラック企業」という言葉も生まれました。

一方で、会社による配慮や対策は、十分に進んでいないのが現状です。心身の限界まで働くことが美徳だとする「根性論」も根強く残っています。
過労自殺が起きてしまったあとも、会社は自社の責任を認めず、労災申請にも協力しないことがほとんどです。

しかし、自殺は仕事が原因で起きたことを会社が認め、自社の責任を真摯に受け止めなければ、適切な再発防止にはつながりません。そういった観点からも、労災認定や損害賠償を請求することには大きな意味があると思います。

弁護士への法律相談

四方法律事務所では、過労自殺に関する法律相談をお受けしております。
ご依頼が前提でないご相談も含め、関東や九州など、全国からご相談をお受けしています。

仕事の悩みを抱えていた

  • 部署が変わり、責任が重くなった
  • 上司などから、ひどい嫌がらせを受けていた
  • 大きな失敗をしてしまい、責任を厳しく追及されていた
  • 執ような退職勧奨を受けたり、解雇をほのめかされたりしていた
  • 遺書に仕事で辛かったことが記されていた

毎日遅くまで働いていた

  • 早朝に出かけたり、深夜に帰宅したりすることが日常的にあった
  • 仕事が忙しく、十分な休息や睡眠がとれていなかった
  • 休日にもよく出勤していた
  • たくさんの部下や同僚がリストラされ、仕事が大変そうだった
  • 「仕事が終わらない」という話を聞いたことがある

会社の責任を認めて欲しい

  • 会社に、生前の仕事の様子を聞いても十分な回答を得られない
  • 会社から、自殺の原因は仕事ではないと言われ、納得できない
  • 労災申請をして、自殺は労災であったと認めて欲しい

法律相談をご希望の方は、
「相談方法のページ」をご覧ください。

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